【ビジネス】人工知能(AI)の様々なコア技術が公開されていく時代に生き残るために必要なスキルは【開発者】
結論から言うと、
技術を使う目的を定義し、適切な会社の技術を目利きし、導入・運用する力
でしょう。
なぜなら、同じ技術開発をしていても大手が多額の資金をかけて開発している技術に秀でることは難しいからです。後述しますが特にAIの領域では。
最近、立て続けにAI領域で重大なニュースがありました。
これらはその分野のAIエンジンを開発し、販売・導入している企業に大きな痛手になります。彼らが限りあるリソースで作ったものよりも、大手のAIエンジンの方が性能が良い可能性は極めて高いです。
なぜなら、機械学習という、莫大なデータからパターンを学習する手法の興隆により、
AIの能力 = 学習データ量 × 計算資源(コンピュータの能力) × 技術力
という公式が加速しているからです。
このことはつまり、資本を持っている大手が莫大なデータを莫大な計算資源によって学習させれば、多少の技術力の差は覆されてしまいます。
そして彼らのAPIが使われれば、それは新たな学習データをユーザーが提供することになり、ますます差を拡大させていくでしょう。
その時に取りうる選択肢としては主に以下が考えられます。
- 大手が進出してこない技術を開発(余程特化していないとコバンザメ商法になりうる危険)
- 公開された技術を用いて適切なソリューションを構築
技術シーズに拘るととんでもないことになる可能性があります。
逆に、顧客ニーズから考え、自社の開発エンジンに拘らずにソリューションを構築できる目利きを持てば、テクノロジーの進歩が加速する中で生き残りやすいと思います。
後者を選ぶのであれば、適切な技術の選定と、いかに価値のあるデータを持っているかが優位性になるでしょう。
それぞれのニュースの詳細は以下で見ることができます。
私たちについて
Ations株式会社はオープンイノベーションを加速させることを目指しています。
現在は人工知能(AI)領域に絞り、開発会社とクライアントのAIリテラシーギャップを埋めるべく、メディアの運営および、AIコンサル、AIアドバイザリー、イベントや勉強会をしております。
いつでも気軽にご連絡ください。
また、「世界にテクノロジーを届けオープンイノベーションによって、科学の発展を加速させたい」と志を同じくする方は是非ご協力ください。
ライター、エンジニア、デザイナー、インターン、オープンイノベーター、サイエンスコミュニケーター、研究者を募集しています。
【ビジネス向け】音声認識の現状【IBMの誤認識率5.6%達成を受けて】
元記事はBusiness Insiderで日本語訳もあるのだけど、誤訳や省略がある...のでまとめました。
【結論】音声認識システム(英語)のエラーはヒューマンエラーに迫りつつある
【出来ていること】
- 人間の誤認識率5%に精度が近づいてきている
- どもり、不明瞭な発音、日常的な環境下では認識できている。
【出来ていないこと】
- トーンや暗喩のニュアンスは捉えられていない
【所見】
- 日本語での精度は完全に別問題
- 音声の音素を認識するのと、音声から言葉を認識するのは別のタスクで、後者は聞き取れた音から穴埋めや推測する自然言語処理の問題。手書き文字認識と似ている。あれも個々の文字を判別し、難しかったものは文脈が「自然になるよう」に補正している。
- このアプローチの都合上、世界中に転がる「自然な言葉の連なり」が正解データとなっているため、手書き文字認識も音声認識も「世の中に存在しない単語や新しい話し方には精度が落ちる」ことになる。
- 逆に、人間が「AIが認識しやすいように話せば」精度は大幅に上昇する。世の中で一般的でない言い回しをしなくなる、など。人間がシステム(AI)に合わせるようになっていくのだと思う。
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【プレスリリース国内&国外】2017/3/13 人工知能(AI)関連動向【解説】
本日のまとめとコメントです。
国内
PRTimes
自然言語処理やDeepLearningを用いた風評対策システム
【概要】ネガティヴなワードを検知しアラートを出力
【技術】自然言語処理、感情分析
【難易度】低い
【コメント】形態素解析を用いて単語を分割し、すでに登録してあるポジティブワードかネガティヴワードかを判別するシステムだと思われる。とても古典的。Deep Learningを用いているということだが、従来の機械学習手法と同じ使い方をしているだけ。
人工知能エンジニアのスカウトサービス開始
【概要】AIエンジニア専門のスカウトサービス
【コメント】AI人材・データサイエンティストの需要が高まる中で登録企業は多いと思われるが、しかし『AI人材はデータと計算機がなければ何もできない』、という特徴から人材流動性が低く、どこまで機能するかは不明。
データ解析基盤が整った大企業以外に行くデータサイエンティストはあまり多くない。なぜなら、基盤が整わなければ解析もできないし、データが十分になければ結果も出ず、不遇な待遇に陥る可能性が高いからです。
@Press
食生活をサポートする人工知能アシスタントCALNA(カルナ)に作り置きプログラム搭載
【概要】簡単で健康的な作り置きレシピをユーザーの好みに学習して提案する
【技術】マッチング、レコメンド
【難易度】低い
【コメント】レシピは事前登録型。レシピに属性(味の傾向、栄養など?)を付加し、あとはユーザーの行動(そのレシピを選択したか、評価したか等)によって、好みに近いものをレコメンドする。そのような古典的なレコメンドシステムだと思われる。
国外
PRnewsWire
【EU】 RAVN Systems、ACE Powered GDPRロボットを発表 - EUの「一般データ保護規則(GDPR)」コンプライアンスを促進する人工知能
【概要】AI技術を使用して、GDPRルールの対象となるビジネスシステム内の文書やその他の種類のデータを自動的に識別します。このシステムにより、ユーザーは、GDPRの下で機密扱いとみなされるデータを迅速かつ簡単に検索、検索、フラグ付け、分類、報告することができます。
【技術】AI的には自然言語処理や情報検索によって文書の中身を精査し、GDPRが適用されるかどうかを精査するもの。機械学習による判断もされている模様。
【難易度】中
【コメント】EUで始まる一般データ保護規則(GDPR)。それを促進するために人工知能を利用する試み。GDPRは『個人データのセキュリティと管理、顧客と従業員の両方を管理する規則のセット』。
EUがどこまで本腰を入れるのか、注目する必要がありそうです。それによって、データの利活用の面で大きく戦略を変えないとEUにサービス展開できない可能性があります。
【中国】AWE 2017:AI、ビッグデータ、IoTを使用してスマートハウスとスマートライフのコンセプトを再構築
【概要】20年以上の歴史を持つAppliance and Electronics World Expo (AWE) 2017でMidea、Hisense、Haier、GE Appliancesなどの主要ブランドが、従来の家電製品や家電製品からバスルームや台所用品に至る最新の製品を展示して、スマートな家庭とスマートな生活に焦点を当てている。
人工知能と大きなデータに重点を置いて、ユーザーのニーズを理解し、日々の活動を自動的に管理することにより、よりスマートな家庭の日常生活をより便利にすることを説明。出展者は、エアコン、テレビ、バスルーム、キッチン家電など様々なインテリジェントな家電製品のデモンストレーションに注力した。最終的に家電製品とコンシューマエレクトロニクスをシームレスに統合し、より効率的なライフスタイルを実現することが目標。
【具体例】
- スマートキッチンは肥満、糖尿病、心臓病などの主要な分野に焦点を当てた消費者向け健康器具。スマートキッチンは、データに基づいたパーソナライズされた食べ物の提案を提供し、ユーザが減量目標を達成するのを助ける。
- ハイアールによる新しい冷蔵庫は、あなたが入れたものを追跡するだけでなく、食品の有効期限を監視し、食べたいブランドの種類を知ることができます。
【コメント】中国で行われたスマートハウスとスマートライフに関する博覧会。日本でもスマートハウス化は進んでいるが、中国では多くの大企業が参加している。
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【基礎】「人工知能ってなに?」+分類のまとめ【AI研究者の視点】
前提としまして、【人工知能の正確な定義は存在しません】。
専門家の中でも常に「人工知能とは何か」と議論がされています。
一研究者からの個人的な見解を述べますと、
『人工知能(AI)とは、人工的に作られた知能っぽく振る舞うもの、または作るために必要と思われる技術』
です。この言い方だとかなりの広い範囲のものが入ってきます。
人工的に作られた知能っぽく振る舞うもの
ここには、賢く振舞っているようにみえる家電製品も含まれます。
例えばルンバです。あれは(少なくとも初期の型は)あらかじめ決められたアルゴリズムによって掃除していました。「壁沿いに掃除する」「壁にぶつかったらランダムに方向を変える」などです。
このように「人間の決めたルールに従って動いている」だけのものも、「知能っぽく振る舞う」のならば、AIという範疇に収めてしまって良いと思っています。
作るために必要と思われる技術
こちらには以下のような幅広い技術が含まれます。
この中で今現在流行っているのが機械学習という分野であり、ちまたで騒がれるAIを「人工知能ではなく正しくは機械学習と呼べ」とおっしゃる方もいます。
しかし私は「知的に見え、何かしら役に立つのであればAIと呼んで良いのでは」という考え方から、機械学習を用いていない画像処理や自然言語処理、音声認識も人工知能の範疇に含めています。
また、知的に振る舞うものを作成するときに必要であることが多いことから、ロボティスクスやIoTといったハード側の技術も人工知能(AI)の中に含めて考えています。
ちなみにAmazonにせよMicrosoftにせよIBMにせよ、安易に「人工知能(AI)」という言い方は避けています。たとえばIBMはCognitive Computingです。
これは「安易にAI」と言うと多くのツッコミが出てくることをわかっているがゆえに対処だと思います。
- AIの分類について
- 結局ビジネスに使われている(使える)AIって?
- 弱いAIかつANIで子供のAIにシフトしていく
- 弊社での取り組み
- [おまけ]人工知能のいろいろな定義
- 私たちについて
【研究者向け】Deep Forest: Towards An Alternative to Deep Neural Networks【Deep Learningの代替となるか?】
挑戦的なタイトルで物議を醸している論文です。投稿日は2017/2/28。
投稿者は南京大学のZhi-Hua Zhou氏。中国で最高峰の機械学習研究者です。
https://scholar.google.com/citations?user=rSVIHasAAAAJ
簡単に言うと、多段階決定木をstackして深く(Deepに)した手法が、Deep Learningに精度で匹敵し、ハイパーパラメータが少なく済み、小規模な訓練データでうまく行く、という話。
そもそもKaggleではxgboostが色んなタスクでstate-of-the-artであり、boostingは強いなぁという印象。
機械学習の研究者・開発者は動向を追うべきでしょう。実装も(今は見つけてませんが)すぐ出てくると思われます。
【2017/3/13追記】Rでの実装をした人がいました。情報提供感謝いたします。
arXiv:[1702.08835] Deep Forest: Towards An Alternative to Deep Neural Networks
【abstract翻訳】
本稿では、深層ニューラルネットワークに匹敵するパフォーマンスを持つ意思決定木アンサンブル手法であるgcForestを提案する。 ハイパーパラメータチューニングに大きな労力を必要とする深層ニューラルネットワークとは対照的に、gcForestは訓練することがずっと簡単です。 実際、gcForestを異なるドメインの異なるデータに適用しても、ほぼ同じハイパーパラメータの設定で優れたパフォーマンスを達成できます。 gcForestのトレーニングプロセスは効率的でスケーラブルです。 我々の実験では、PC上で実行されるトレーニング時間は、GPU機能を実行する深層ニューラルネットワークのトレーニング時間に匹敵し、gcForestは自然に並列実装に適しているため、効率の利点がより明らかになる可能性があります。 さらに、大規模な訓練データを必要とする深層ニューラルネットワークとは対照的に、gcForestは、小規模な訓練データしかない場合でもうまく機能します。 さらに、ツリーベースのアプローチとして、gcForestは、深層ニューラルネットワークよりも理論的解析が容易です。
中国語での解説記事
ちなみに中国の教授の論文だからというのもあるだろうが、中国では凄いスピードで解説記事が出ています。中国語読める方はどうぞ(中国語→英語はものすごく機械翻訳の精度が良いので、実質英語で読めます)
英語圏での議論はハッカーニュースとredditで行われています。
Deep Forest: Towards an Alternative to Deep Neural Networks | Hacker News
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【ビジネス向け】加速するDeepLearningの音声合成への応用【実用化間近】
音声合成におけるDeepMindの画期的な発表からわずか5ヶ月で百度がより優秀なシステム『Deep Voice』の開発に成功
百度が2017/2/28にテキスト音声合成システム『Deep Voice』を発表しました。
プレスリリース: Deep Voice: Real-Time Neural Text-to-Speech for Production - Baidu Research
論文:[1702.07825] Deep Voice: Real-time Neural Text-to-Speech
Deep Voiceは2016/9/16にDeepMindが出した音声合成システム『WaveNet』を改良したもので、性能が良く、処理速度がリアルタイムで可能なため、現実世界での活用が既に見込まれます。
- 音声合成におけるDeepMindの画期的な発表からわずか5ヶ月で百度がより優秀なシステム『Deep Voice』の開発に成功
- AIによる音声合成の最新のレベルを実感
- 前提知識
- 特徴
- 展望
- 関連リンク
- 需要があれば書くこと(コメントください)
- 私たちについて
AIによる音声合成の最新のレベルを実感
続きを読む開設の目的
このブログの目的はハッキリとしています。
オープンイノベーションの量と質を増大させることです。
そのために、ビジネスサイド、アカデミアサイドのリテラシーの差を埋め、そして間に立つ人材が集まるプラットフォームを作っていきます。
弊社Ations株式会社は人工知能(AI)の受託開発やコンサル・アドバイザリーを行ってきましたが、多くの案件の相談を受け、ビジネスとアカデミアにリテラシーギャップがあることを強く実感しました。
また、大企業とベンチャーの間のリテラシーギャップも同様です。
どのような分野でも同じで、専門家と素人の間にはあまりに深い谷(死の谷)があります。
しかし、特にバズワードとなっている人工知能(AI)においては深刻化しているように思えます。
なぜなら、新興の領域であり、間に立つ存在の数が少ないからです。
IT業界においてはクライアントとエンジニアをブリッジする存在としてSIerがいます。ビジネスの世界においてはコンサルタント・オープンイノベーター・プロデューサー・ディレクターがいます。
しかし、アカデミアやテクノロジー・サイエンスの世界においては、橋渡しをするサイエンスコミュニケーターがほとんどいません。
AIについてはそれが顕著であると言えるでしょう。
AIは電化→IT化→AI化の流れに乗っています。これらは不可逆で不可避で普遍的な変化です。誰が今更スマホや家電がない世界に戻れるでしょうか。AIも同じです。どのような業界にもAIは浸透していきます。
このように無視できないテクノロジーであるAIを、リテラシーギャップによって導入が遅れることは日本の成長においてもそれぞれの会社の成長においても、大変な負だと認識しています。
よって、このメディアはビジネスサイドとアカデミアサイドが集い、両者の橋渡しとなるような場所にしていきます。
課題発見と最適なテクノロジーソリューションが世の中を変え、人を幸せにすることを目指す。
その決意を胸に、運営してまいります。
Ations株式会社 代表取締役CEO 井上雄介
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