【基礎】「人工知能ってなに?」+分類のまとめ【AI研究者の視点】
前提としまして、【人工知能の正確な定義は存在しません】。
専門家の中でも常に「人工知能とは何か」と議論がされています。
一研究者からの個人的な見解を述べますと、
『人工知能(AI)とは、人工的に作られた知能っぽく振る舞うもの、または作るために必要と思われる技術』
です。この言い方だとかなりの広い範囲のものが入ってきます。
人工的に作られた知能っぽく振る舞うもの
ここには、賢く振舞っているようにみえる家電製品も含まれます。
例えばルンバです。あれは(少なくとも初期の型は)あらかじめ決められたアルゴリズムによって掃除していました。「壁沿いに掃除する」「壁にぶつかったらランダムに方向を変える」などです。
このように「人間の決めたルールに従って動いている」だけのものも、「知能っぽく振る舞う」のならば、AIという範疇に収めてしまって良いと思っています。
作るために必要と思われる技術
こちらには以下のような幅広い技術が含まれます。
この中で今現在流行っているのが機械学習という分野であり、ちまたで騒がれるAIを「人工知能ではなく正しくは機械学習と呼べ」とおっしゃる方もいます。
しかし私は「知的に見え、何かしら役に立つのであればAIと呼んで良いのでは」という考え方から、機械学習を用いていない画像処理や自然言語処理、音声認識も人工知能の範疇に含めています。
また、知的に振る舞うものを作成するときに必要であることが多いことから、ロボティスクスやIoTといったハード側の技術も人工知能(AI)の中に含めて考えています。
ちなみにAmazonにせよMicrosoftにせよIBMにせよ、安易に「人工知能(AI)」という言い方は避けています。たとえばIBMはCognitive Computingです。
これは「安易にAI」と言うと多くのツッコミが出てくることをわかっているがゆえに対処だと思います。
- AIの分類について
- 結局ビジネスに使われている(使える)AIって?
- 弱いAIかつANIで子供のAIにシフトしていく
- 弊社での取り組み
- [おまけ]人工知能のいろいろな定義
- 私たちについて
【研究者向け】Deep Forest: Towards An Alternative to Deep Neural Networks【Deep Learningの代替となるか?】
挑戦的なタイトルで物議を醸している論文です。投稿日は2017/2/28。
投稿者は南京大学のZhi-Hua Zhou氏。中国で最高峰の機械学習研究者です。
https://scholar.google.com/citations?user=rSVIHasAAAAJ
簡単に言うと、多段階決定木をstackして深く(Deepに)した手法が、Deep Learningに精度で匹敵し、ハイパーパラメータが少なく済み、小規模な訓練データでうまく行く、という話。
そもそもKaggleではxgboostが色んなタスクでstate-of-the-artであり、boostingは強いなぁという印象。
機械学習の研究者・開発者は動向を追うべきでしょう。実装も(今は見つけてませんが)すぐ出てくると思われます。
【2017/3/13追記】Rでの実装をした人がいました。情報提供感謝いたします。
arXiv:[1702.08835] Deep Forest: Towards An Alternative to Deep Neural Networks
【abstract翻訳】
本稿では、深層ニューラルネットワークに匹敵するパフォーマンスを持つ意思決定木アンサンブル手法であるgcForestを提案する。 ハイパーパラメータチューニングに大きな労力を必要とする深層ニューラルネットワークとは対照的に、gcForestは訓練することがずっと簡単です。 実際、gcForestを異なるドメインの異なるデータに適用しても、ほぼ同じハイパーパラメータの設定で優れたパフォーマンスを達成できます。 gcForestのトレーニングプロセスは効率的でスケーラブルです。 我々の実験では、PC上で実行されるトレーニング時間は、GPU機能を実行する深層ニューラルネットワークのトレーニング時間に匹敵し、gcForestは自然に並列実装に適しているため、効率の利点がより明らかになる可能性があります。 さらに、大規模な訓練データを必要とする深層ニューラルネットワークとは対照的に、gcForestは、小規模な訓練データしかない場合でもうまく機能します。 さらに、ツリーベースのアプローチとして、gcForestは、深層ニューラルネットワークよりも理論的解析が容易です。
中国語での解説記事
ちなみに中国の教授の論文だからというのもあるだろうが、中国では凄いスピードで解説記事が出ています。中国語読める方はどうぞ(中国語→英語はものすごく機械翻訳の精度が良いので、実質英語で読めます)
英語圏での議論はハッカーニュースとredditで行われています。
Deep Forest: Towards an Alternative to Deep Neural Networks | Hacker News
私たちについて
Ations株式会社はオープンイノベーションを加速させることを目指しています。
現在は人工知能(AI)領域に絞り、開発会社とクライアントのAIリテラシーギャップを埋めるべく、メディアの運営および、AIコンサル、AIアドバイザリー、イベントや勉強会をしております。
いつでも気軽にご連絡ください。
また、「世界にテクノロジーを届けオープンイノベーションによって、科学の発展を加速させたい」と志を同じくする方は是非ご協力ください。ライター、エンジニア、デザイナー、インターン、オープンイノベーター、サイエンスコミュニケーター、研究者を募集しています。
【ビジネス向け】加速するDeepLearningの音声合成への応用【実用化間近】
音声合成におけるDeepMindの画期的な発表からわずか5ヶ月で百度がより優秀なシステム『Deep Voice』の開発に成功
百度が2017/2/28にテキスト音声合成システム『Deep Voice』を発表しました。
プレスリリース: Deep Voice: Real-Time Neural Text-to-Speech for Production - Baidu Research
論文:[1702.07825] Deep Voice: Real-time Neural Text-to-Speech
Deep Voiceは2016/9/16にDeepMindが出した音声合成システム『WaveNet』を改良したもので、性能が良く、処理速度がリアルタイムで可能なため、現実世界での活用が既に見込まれます。
- 音声合成におけるDeepMindの画期的な発表からわずか5ヶ月で百度がより優秀なシステム『Deep Voice』の開発に成功
- AIによる音声合成の最新のレベルを実感
- 前提知識
- 特徴
- 展望
- 関連リンク
- 需要があれば書くこと(コメントください)
- 私たちについて
AIによる音声合成の最新のレベルを実感
続きを読む開設の目的
このブログの目的はハッキリとしています。
オープンイノベーションの量と質を増大させることです。
そのために、ビジネスサイド、アカデミアサイドのリテラシーの差を埋め、そして間に立つ人材が集まるプラットフォームを作っていきます。
弊社Ations株式会社は人工知能(AI)の受託開発やコンサル・アドバイザリーを行ってきましたが、多くの案件の相談を受け、ビジネスとアカデミアにリテラシーギャップがあることを強く実感しました。
また、大企業とベンチャーの間のリテラシーギャップも同様です。
どのような分野でも同じで、専門家と素人の間にはあまりに深い谷(死の谷)があります。
しかし、特にバズワードとなっている人工知能(AI)においては深刻化しているように思えます。
なぜなら、新興の領域であり、間に立つ存在の数が少ないからです。
IT業界においてはクライアントとエンジニアをブリッジする存在としてSIerがいます。ビジネスの世界においてはコンサルタント・オープンイノベーター・プロデューサー・ディレクターがいます。
しかし、アカデミアやテクノロジー・サイエンスの世界においては、橋渡しをするサイエンスコミュニケーターがほとんどいません。
AIについてはそれが顕著であると言えるでしょう。
AIは電化→IT化→AI化の流れに乗っています。これらは不可逆で不可避で普遍的な変化です。誰が今更スマホや家電がない世界に戻れるでしょうか。AIも同じです。どのような業界にもAIは浸透していきます。
このように無視できないテクノロジーであるAIを、リテラシーギャップによって導入が遅れることは日本の成長においてもそれぞれの会社の成長においても、大変な負だと認識しています。
よって、このメディアはビジネスサイドとアカデミアサイドが集い、両者の橋渡しとなるような場所にしていきます。
課題発見と最適なテクノロジーソリューションが世の中を変え、人を幸せにすることを目指す。
その決意を胸に、運営してまいります。
Ations株式会社 代表取締役CEO 井上雄介
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